事業承継支援
円滑な事業承継に向けて
準備の必要性の認識
事業承継とは、次の要素を後継者に引き継ぐことを意味します。
- ひと(経営)
経営権、後継者の選定・育成、後継者との対話 - 資産
株式、事業用資産、資金、負債、許認可、従業員 - 知的資産
経営理念、経営者の信用、特許、ノウハウ、技術、取引先、人脈
中小企業・小規模事業者の場合、会社の経営そのものが社長を中心に回っている事業者も多いと思います。そのような場合、業務が細分化されていないため、混乱が生じやすく、スムーズに引継ぎができないことが予想されます。また、後継者を次期経営者として育成していくことも考えておかなくてはならず、十分な期間を設けて準備することが必要となります。
事業承継の方法には、一般的に「親族内承継」「親族外承継」「M&A」の3種類があります。
経営状況・経営課題の認識
(見える化)
事業を維持・発展させていくために、経営状況を把握する必要があります。
「事業の見える化」
事業の将来性の分析や経営体質の確認を行い、会社の強み・弱みを再認識しましょう。これにより取り組むべき課題を洗い出します。
「資産の見える化」
経営者の個人資産について、会社との賃貸関係などを確認しましょう。
後継者に残せる経営資源を明確にできれば、後継者の不安解消に繋がります。
「財務の見える化」
適切な会計処理を通じて、客観的な財務状況を明らかにしましょう。
これにより金融機関や取引先からの信用度も上がり、資金調達・取引の円滑化に繋がります。
「自身の事業の強みや課題は理解しているつもりだけど、改めて整理するといっても、どうしたらいいのだろう。」
「財務面の分析なんて難しくてよく分からない」
そのような場合にも、「専門家派遣事業」をご利用することができます。
山梨県信用保証協会では、無料にて、中小企業診断士等の専門家の派遣し、経営の改善に向けた助言やサポートをおこなっております。
法人の客さまが対象となりますが、直近2期分の決算書を、保証協会にご提出いただければ、財務状況を分析した『McSS経営診断報告書』を提供することができます。
財務面の調査の参考としてください。
事業承継に向けた経営改善
経営者が将来の事業承継を見据えて、本業の競争力の強化などにより企業価値を高めることで、後継者にとって魅力的な状態まで引き上げて生きます。
自社が強みを有する分野の業務を拡大していくとともに、各部署の権限、役割を明確にして業務がスムーズに進行する事業の運営体制を整備しましょう。
事業承継計画策定
これまでの過程で明らかになった引き継ぐべき要素や経営上の課題、取り組むべき事項について事業承継計画にまとめていきましょう。事業承継を計画的に進めていくために、事業承継までのスケジュール、年度ごとの売上高、株式関係、役職変更、持ち株などを詳細に記載することが重要です。
山梨県信用保証協会では「山梨県事業引継ぎ支援センター」と連携した事業承継支援を行っております。
事業承継においては、計画の策定や自社株の評価、株式の譲渡、税制関係、M&Aの手続など専門家でないと対応しきれない課題が多くあります。
自身で悩まず、専門家の支援を早めに受けることが、スムーズな事業承継を行っていくうえでのポイントとなります。
資金調達
事業承継の実行
事業承継計画に基づいて、事業承継を実行していきます。
事業承継においては、有利な融資制度や税制上の優遇措置、補助金などの支援もありますので、上手に組み合わせて活用していきましょう。
事業承継時には、「後継者の株式取得資金」「既存借入の借換による返済負担額の軽減」「新規の設備投資」「後継者による新規事業の立ち上げ」等を計画している事業者もいらっしゃいます。
そのような資金需要に対応するため、山梨県信用保証協会では特別保証制度や当協会独自の保証制度をご用意しております。
事業承継が進まない1つの要因として、既存借入に対する個人保証の課題があります。
当協会では「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、一定に要件を満たす場合には、既存の保証契約の解除や適切な保証金額の見直しをしております。後継者の個人保証についても、前経営者の個人保証を当然に引き継がせるのではなく、保証契約の必要性や適切な保証金額について改めて検討することとしております。
経営者に求められる経営状況
①法人と経営者が明確に区分・分離されていること
②法人の資産・収益で借入返済が可能であること
③適時適切に財務情報が開示されていること