年度経営計画

令和8年度経営計画

経営方針

(1)業務環境

1)山梨県の景気動向
 日本銀行甲府支店の山梨県金融経済概観(2026年2月)によると、「県内景気は、緩やかに持ち直している。」としている。
 このような状況のもと、需要面では、観光・宿泊の堅調な動きに加え、賃上げの広がりを背景に個人消費の持ち直しがみられる。生産面では、半導体関連や精密機器など県内主力製造業において回復の動きがみられるものの、海外経済の動向や為替変動の影響を受けやすい業種も存在しており、業種ごとに回復の動きに差がみられる。地場産業については、原材料価格の高騰や需要の伸びといった課題を抱えつつも、価格転換の進展や付加価値向上の取り組みにより、明るい兆しも見え始めている。
 先行きについては、国内外の景気回復や雇用・所得環境の改善が下支えとなることが期待される一方、物価上昇の長期化、金融政策の動向、日中関係や中東情勢など先行き不透明な国際情勢の影響が県内経済の下振れリスクとして懸念されており、引き続き注視が必要である。

2)中小企業を取り巻く環境
 県内の中小企業・小規模事業者を取り巻く環境は、売上高の回復がみられる企業がある一方で、原材料費・エネルギー価格の高騰や、人件費の上昇などにより、収益改善が十分に進んでいない企業も多い。財務省関東財務局の法人企業景気予測調査や、民間調査機関の動向からも、景況感は持ち直しつつあるものの、先行きに対する慎重な見方が根強いことが窺える。
 また、深刻な人手不足は引き続き大きな経営課題となっており、特に建設業、観光関連産業などでは人材確保が事業継続や成長の制約要因となっている。加えて、賃上げ要請への対応や働き方改革への対応が求められる中で、生産性向上に向けた業務効率化やデジタル化への取り組みが不可欠となっている。
 さらに、金利環境の変化やコスト上昇の影響を背景に、財務体質の改善や事業構造の見直しを迫られている企業も多く、経営改善・事業再生支援に対するニーズは引き続き高い水準にある。これまでの事業承継問題に加え、自然災害への対策や、脱炭素に対する取り組みなど、従来以上に中小企業・小規模事業者が直面する経営課題は多様化かつ複雑化している。

(2)業務運営方針

 令和8年度は、令和6年度を初年度とする中期事業計画の最終年度として、これまでの取り組みの成果と課題を踏まえ、施策の定着と体制の確立を通じ、地域経済を支える信用保証制度の安定的かつ持続的な運営に取り組む。
 中小企業・小規模事業者を取り巻く経営環境は、先行きに対する不透明感の強さが継続している中、政策保証を的確に運用し、金融機関および関係支援機関との連携を一層強化することで、事業者の実情に応じた資金供給の円滑化を図るとともに、期中管理を重視した経営支援を通じて、持続的な事業活動を支援する。あわせて、経営者保証に依存しない保証制度の普及を着実に進めることにより、事業の持続的発展と成長を後押しする。
 また、代位弁済増加に対する求償権管理については、適切で透明性の高い債権管理と業務の効率化を進め、迅速かつ公平な対応に努めるとともに、事業再生や再チャレンジを後押しする取り組みを進める。
 さらに、コンプライアンスおよびリスク管理態勢の強化、IT・デジタルを活用した業務の合理化・効率化、職員の能力開発と組織力の向上に取り組み、協会運営の健全性と信頼性の確保を図る。
 以上を令和8年度の業務運営上の基本方針とし、次に掲げる事項を重点課題として取り組む。

重点課題

保証部門

(1)政策保証による事業者の実情に応じた資金繰り支援
  1. 協調支援型特別保証制度、モニタリング強化型特別保証制度等の政策保証を幅広く周知し、多様な経営課題に有効となる資金繰り支援に努める。
(2)成長ステージに応じた生産性向上および賃上げに資する柔軟な金融支援
  1. 挑戦する前向きな中小企業者に対し、生産性向上や賃上げに寄与する伴走支援と積極的な金融支援により、稼ぐ力と成長を後押しする。
(3)経営者保証に依存しない融資慣行への更なる促進
  1. 「経営者保証ガイドライン」や「経営者保証の提供を選択できる保証」等の経営者保証不要の取り扱いおよびメリットの積極的な外部周知を図り、更なる促進に努める。

期中管理・経営支援部門

(1)関係支援機関との密接な連携下における、一歩先を見据えた主体的な事業者支援
  1. 金融機関・支援機関・士業等との結び付きを深め、各支援フェーズに応じた適切な役割分担に基づく実効的な連携体制の強化を図る。
  2. 関係支援機関との連携を深めつつ、早期発見・早期相談・早期着手に繋げるべく予兆管理体制を強化し、専門家派遣や中小企業活性化協議会への相談持込等の主体的支援を充実させ、経営改善・再生支援の実効性を高めていく。
(2)経営改善や再生を後押しする保証制度を活用した金融支援
  1. 経営改善サポート保証制度や経営力強化保証制度等の活用を促進し、経営改善や再生を円滑に進めるための資金繰り支援に努める。
3)専門家派遣事業の効果測定を踏まえた、より効果的な支援
  1. 専門家派遣事業利用先の収益動向(ローカルベンチマーク指標の内、売上高および営業利益の平均改善率が6割以上)を検証する。その結果を踏まえ、より効果的な支援施策への反映に努める。

回収部門

(1)求償権管理体制の整備と回収業務の効率化
  1. 回収担当者別行動計画表の活用により求償権の状況を把握し、早期に回収可能性を見極めることにより、合理的かつ効率的な回収業務に努める。
(2)求償権の管理事務停止と整理による管理求償権の適正化
  1. 回収可能性が低い求償権の管理事務停止と整理の取り組みを進め、管理対象求償権の適正化を図る。
(3)連帯保証人の実情に応じた生活再建支援
  1. 求償権保証人の生活状況等を考慮の上で、「一部弁済による連帯保証債務免除ガイドライン」を活用し、生活再建を支援する。
(4)事業再生や経営者保証ガイドラインの活用による再チャレンジ支援
  1. 事業継続している求償権債務者には、保証部門や関係機関との連携により求償権消滅保証などを活用し、事業再生を支援する。
  2. 「経営者保証に関するガイドライン」に基づく申出については、ガイドラインの趣旨を考慮し、経済合理性を勘案した適格な対応に努める。

その他間接部門

(1)組織全体のコンプライアンス意識の向上、定着
  1. コンプライアンス啓発活動の継続実施により、役職員のコンプライアンス意識の向上および定着を図る。
(2)リスク管理体制の強化
  1. リスクマネジメント力の向上およびリスク管理体制の整備により、将来のリスク回避、組織的なリスク対応力の強化を図る。
  2. BCPと危機管理マニュアルについて、実効性を維持するため、適時に見直しを行う一定の基準を設定する。
  3. 情報セキュリティ規程類の内容について、職員の理解度を測るとともに、内部周知を徹底する。
(3)ホームページコンテンツの充実と利便性の向上
  1. 中小企業、金融機関(関係機関)、学生など各利用者の立場に立ち、ホームページの課題等を整理するとともに、コンテンツの充実と利便性を高める。
(4)人材育成の取組強化
  1. 協会が求める人材像および職員の職歴、職務、職責に応じた役割を明確にし、認識を共有する。
  2. 業務スキルに加え、人間力の強化に着目した、内部研修体制の見直しを図る。
  3. 育成方法の標準化に取り組む。
(5)組織活性化に向けた健康維持増進の取り組み
  1. 健康経営に関する取り組み、職場環境の整備によりエンゲージメントの向上を図る。
  2. 世代間交流による職場内コミュニケーションの活性化を促進する。
(6)業務プロセスの見直しと効率化
  1. デジタル化の本来の目的を改めて確認し、その方向性について多くの職員の意見を参考にするため、プロジェクトを再始動する。
  2. 役職員のデシタルリテラシーのさらなる向上のため、デジタル活用を促進する環境づくりに努めると同時に、事務効率に対する意識の向上を図る。
  3. 電子保証書システム、電子受付システムの利用金融機関の増加に向け、情報提供および事務手続きの円滑化に努める。

保証承諾等の見通し

令和8年度の主要業務数値(計画)は次のとおりです。

項目 金額(百万円) 対前年度計画比(%)
保証承諾 62,000 106.9
保証債務残高 207,000 104.0
代位弁済 5,500 122.2
実際回収 470 104.4

参考資料