年度経営計画

令和3年度経営計画

経営方針

(1)業務環境

 令和2年度は新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という。)影響に左右される1年となった。緊急事態宣言下の4月から5月をボトムに経済は持ち直しの動きを見せたものの、業種間で感染症の影響度合いや回復にバラツキが表れている。製造業では、9月以降、自動車関連の生産が堅調に推移したほか、工作機械や産業機械を含む機械製造、半導体製造装置、内需関連の食料品製造業などは上向きの動きが見られている。また、非製造業では、在宅消費やリモートワーク、企業のデジタル対応等が業績にプラスの影響を与えている分野もある一方で、対個人サービスや宿泊・飲食サービス業へのマイナスの影響は大きく、政府による「Go Toキャンペーン」等の需要喚起策により、業績に持ち直しの動きが見られたものの、感染症の再拡大により、再び需要が縮小し、回復が遅れている。
 今後は、有効なワクチン接種の広がりにより、感染症リスクの軽減が図られることで、経済活動の回復が期待され、また、中長期的な成長が見込まれる5Gや医療、デジタル化関連等への設備投資ニーズもあるなど、経済へのプラス要因も見られる。しかし、感染症の拡大状況によっては、更なる経済の後退も懸念されるほか、業種間で景気の動きが二分されるなど、今後の動きに注視が必要である。

(2)業務運営方針

 このような状況下、感染症により業況が悪化した中小企業者への当面の資金繰り支援については、一定の目途がついたものの、業種によっては、今後も資金不足が発生する可能性も懸念されるため、柔軟な資金繰り支援に取り組んでいく。また、借入過多の財務状況に陥った事業者が多いことから、本業の回復支援や新たなビジネスモデル確立への支援等を通して、財務改善をさせていくことが必要であり、これまで以上に金融機関や国、県ならびに市町村、関係支援機関と連携し、中小企業者に対して、業種・業態別の課題に応じた支援に取り組んでいく。更には、コロナ禍を契機に、事業承継支援の必要性が今まで以上に高まっていることから、当協会独自の経営支援メニューの活用や、金融機関や関係支援機関と連携した個々の実情に即した事業承継支援に取り組んでいく。以上のように、令和3年度は、感染症により悪化した経営環境からの脱却に向けた経営支援を最重要課題として取り組んでいく。
 その他、お客様である中小企業者及び金融機関が信用保証協会を活用しやすい環境を整備し、県内経済の発展に貢献していくことが必要であることから、質の高い信用保証や効果的な経営支援が提供できる人材を育成するとともに、情報通信技術を活用した新たなサービスの提供や効果的な広報活動により、顧客の利便性と満足度の向上に努めながら、従前から取り組みを強化している地方創生に向けて、創業支援やビジネスマッチング等、地域に根差した活動にも取り組んでいく。また、求償権者の事業再生や求償権関係人の再チャレンジに向けた再生支援にも取り組んでいく。
 こうした観点に立ち、様々な支援を継続的に実施していくためには、更なる経営基盤の強化にも取り組むことが重要であることから、コンプライアンスの徹底と内部統制の強化により、健全な業務運営を継続させ、地域社会からの信頼を一層強固にしていく。また、様々な経営リスクに対する対策を講じるとともに、業務効率化への取り組みを進展させていく。

重点課題

保証部門

(1)感染症の影響を受けた中小企業者の状況に即した支援
  1. 新型コロナウィルス感染症関連保証により資金を調達したものの、今後の業況への不安や多額の借入を抱え経営状況の苦しい中小企業者に対して、国により新たに創設された伴走支援型特別保証制度や事業再生計画実施関連保証(感染症対応型)を活用した更なる支援に努める。
  2. 資金繰り支援後において中小企業者の状況を注視していくため、金融機関から提出されたモニタリング報告書を活用し保証利用先の業況把握に努め、業績回復が見込まれない中小企業者に対しては、金融機関と連携し経営改善に向けた支援策を講じる。
  3. 新型コロナウィルス感染症関連保証において据置期間を設けたものの、感染症の影響が長期化しているため借入金の返済に窮している中小企業者に対しては、新型コロナウイルス感染症特例リスケジュールなどの活用により、返済計画の見直しに柔軟に応じることにより、改善のための時間的猶予を確保する。
  4. 金融機関・関係支援機関と連携し、個々の中小企業者の状況に応じた適切な専門家の派遣や経営サポート会議等を活用することにより、業況回復・財務改善に向けた実効性の高い経営支援に努める。
  5. 経営支援による改善事例や企業の財務データ等を継続して蓄積し、成功事例の紹介などにより業況改善へのヒントを示し、課題解決へ向けた後押しに努める。
  6. 長びく感染症の影響による中小企業者の状態を踏まえ、保証制度の新設・改正、事務手続きの見直しを行い、柔軟かつ適切な支援に努める。
(2)コロナ禍からの地域経済の回復及び地方創生への取り組み
  1. 中小企業者に対して新たな取引先や新分野などへのビジネスチャンスを創出するため、各種ビジネスマッチング等の開催情報の提供や出展を希望する中小企業者に対する費用面でのサポートなどにより、コロナ禍において大きく落ち込んだ売上の回復に向けた後押しに努める。
  2. 事業者数の減少に歯止めをかけるため、事業承継分野の専門家により円滑な事業承継をサポートするとともに、事業承継保証制度の活用により、経営者保証に依存しない取り組みを推進し、事業承継の促進に努める。
  3. 創業マインドを高めるため、大学や専門学校等において、創業に関する知識や事例紹介による講義を通して、起業意識を醸成していく取り組みを実施し、新たな事業や雇用の創出に貢献する。
  4. コロナ禍において不安を抱える創業予定者および創業者に対して、個々の課題に応じた専門家派遣や資金ニーズに対する創業保証制度の活用、創業後のフォローアップによる伴走型の支援に努める。
  5. 地方創生に関連した保証制度を積極的に活用することにより、地域経済の回復および活性化に貢献する。

期中管理・経営支援部門

(1)期中管理の強化
  1. 金融機関が提出するモニタリング報告書を活用し、保証利用先の業況把握に努め、業績回復が見込まれない中小企業者に対しては、早期に経営改善に向けた支援策を講じる。
  2. 延滞先については、初期延滞先リストに基づき、金融機関へのヒアリングによる業況の把握を実施し、早期に延滞解消に向けた措置を講じる。
(2)経営支援の充実・強化
  1. 金融機関・関係支援機関と連携し、個々の中小企業者の状況に応じた経営支援メニューの活用により、業況回復・財務改善に向けた実効性の高い経営支援に努める。
  2. 再生を図ろうとする中小企業者に対し、金融機関・関係支援機関と連携する中、実態に応じた再生支援手法を活用し、事業再生に向けた支援を実施する。
  3. 中小企業者への効果的な経営支援を行うために、経営支援による改善事例や企業の財務データ等を継続して蓄積し、当協会が実施している経営支援の効果について検証していく。
(3)創業支援への取り組み
  1. 創業予定者および創業者に対して、創業計画書の策定など個々の課題に応じた専門家派遣や創業時における資金ニーズに対して創業保証制度などを活用していく。また、創業後のフォローアップとしてセミナー開催なども含めた伴走型の支援に努める。
(4)事業承継支援への取り組み
  1. 関係支援機関の協力のもと、事業承継分野に精通した専門家により円滑な事業承継のためのサポートを図る。また、事業承継保証制度の活用により、経営者保証に依存しない取り組みを推進し、事業承継の促進に努める。

回収部門

(1)回収促進の取り組み強化
  1. 定期的にヒアリングを実施し、案件の進捗管理を行い、回収の効率化と最大化に努める.。
  2. タイムリーな担保物件処分に努め、回収の効率化・最大化を図る。
  3. 代位弁済前に資産調査を行い、実態把握に努め、的確な回収方針を立てる。
  4. 定期弁済先の入金管理を徹底し、不履行先に対しては早期督促を行うとともに、実情を考慮した返済協議を行う。
  5. サービサーと定期的な会議を実施し、情報の共有化、事務改善に努める。
(2)再生支援の取り組み
  1. 事業継続先には、求償権消滅保証を活用し、再生支援に取り組む。
  2. 定期的な会議を実施し、情報の共有化、業務改善等について協議する。
(3)回収業務の効率化
  1. 回収が見込めない求償権については、求償権管理事務停止・求償権整理を適切に行う。
  2. サービサーへの委託と解除を適切に行い、サービサーの有効活用に努める。

その他間接部門

(1)コンプラインスの徹底とガバナンス態勢の強化
  1. 公正かつ公平な業務の遂行に向けた内部統制の強化を進め、地域社会からのより一層の信頼を確立する。
  2. 経営計画の実効性を高めるため、外部環境の変化を踏まえたPDCAの実施と職員への浸透を進め、ガバナンス機能を発揮して組織力を向上させる。
(2)人材の育成
  1. 職位や職務に応じて必要とされる知識の習得や能力の向上を奨励し、職員の計画的な育成に努める。
  2. 主体的に行動する職員への育成と管理職のマネジメント力の養成に努める。
(3)業務効率化と経営資源の効果的な活用
  1. 新たな顧客ニーズへの対応に向けて、必要性や重要性の観点から業務を見直し、生産性と効率性の向上を図る。
  2. 算の執行を適正に管理するとともに、経営資源の効果的な活用により、経営基盤の強化を進める。
  3. ワークライフバランスを意識した働き方を奨励するとともに、職員の健康管理やメンタルヘルスケアへの取り組みに努める。
(4)リスク管理強化
  1. 当協会が保有する情報資産を取り巻く環境変化に応じ、対策の見直しを図るとともに、役職員の意識を高める継続的な取り組みを実施し、情報セキュリティ確保に努める。
  2. これまで想定していなかった感染症災害を経験し、更なる危機管理体制の強化の必要性を認識していることから、これまで以上の緊急事態発生時における対応についても、職員の認識を高めるとともに、BCP・マニュアルの整備を進める。
(5)情報システムの安定運用と生産性・利便性向上
  1. 協会業務における各種システムの安定的な運用を維持するとともに、有効性を検証し、計画的かつ効率的な更新等を実施することで、より利便性の高い利用環境の構築に努める。
  2. 顧客の利便性と協会業務の生産性を高めるためのITツールを調査・研究し、計画的に情報通信技術活用への取り組みを進める。
(6)広報活動の充実
  1. 信用保証協会の存在感を高めるため、マスメディアを活用した広告やパブリシティ活動による効果的な広報を行う。
  2. ホームページについては、情報発信媒体としてだけではなく、中小企業者や金融機関の利便性を高めるツールとしての機能を向上させて、積極的な活用を図る。
  3. 広報媒体の見直しを行い、適宜新しい広報手段を検討し、効果的な情報発信に努める。
  4. 自ら変革のための努力を継続するのはもちろんのこと、より利用しやすい信用保証協会にしていくためには、様々な方々のご意見に真摯に耳を傾け、各方面のステークホルダーへの広聴活動を実施する。

保証承諾等の見通し

令和3年度の主要業務数値(計画)は次のとおりです。

項目 金額(百万円) 対前年度計画比(%)
保証承諾 56,000 91.1
保証債務残高 279,000 220.0
代位弁済 5,000 200.0
実際回収 850 106.3

参考資料