年度経営計画

令和7年度経営計画

経営方針

(1)業務環境

 日本銀行甲府支店の山梨県金融経済概観(2025年1月)によると、「県内経済は、緩やかに持ち直している」としている。需要面においては、インバウンドによる観光需要が牽引して緩やかに回復している。生産面においても、県内の主力製造業である半導体製造装置関連に増産の動きがあり、持ち直しの動きが見られている。一方で、地場産業である宝飾関連では、持ち直しの動きが一服している。
 先行きについては、海外経済の緩やかな回復や賃上げに支えられ持ち直しが続くことが期待できる。

(2)業務運営方針

 令和7年度はプロパー融資との協調支援により金融機関と適切なリスク分担を図り、中小企業者の生産性向上や成長に向けた前向きな投資行動を資金繰り面からサポートする。また、経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向け、制度趣旨への理解や関連施策の促進に努め、一層の浸透を図る。
 一方で、一歩先を見据えた経営改善支援、事業再生支援のニーズの高まりを認識しており、金融機関、関係支援機関との密接な連携と当協会の主体的な取り組みにより、各フェーズに応じた的確な支援策を講じ、早期の経営改善や円滑な事業再生を後押しする。また、経営支援を効果的な取り組みとしていくため、効果の測定と検証結果を踏まえた工夫や改善を重ねる。
 債権回収は、回収業務の合理化や効率化を進めるとともに、求償権関係人の実情に即した事業再生や再チャレンジ、生活再建の支援に取り組む。
 これらの取り組みを着実に遂行するために、コンプライアンスの徹底と経営リスクに対する管理などを強化し、健全な組織運営を展開する。さらには、業務の効率化や人材育成、職場環境の改善などにより、組織の活性化を図り、信頼される組織に成長していく。
 以上を令和7年度の業務運営上の基本方針とし、次に掲げる事項を重点課題として取り組む。

重点課題

保証部門

(1)アフターコロナにおける柔軟な資金繰り支援および地方創生への対応
  1. 金融機関との適切なリスク分担(協調融資)を進め、中小企業者の経営課題に対応した資金需要に柔軟に応える。
  2. 中小企業者の生産性向上や成長等に資する金融支援を積極的に実施するとともに、中小企業者の前向きな挑戦を後押しする。
(2)経営者保証に依存しない融資慣行への一層の促進
  1. 「経営者保証ガイドライン」や「経営者保証の機能を代替する制度」等による経営者保証を不要とする取扱いの積極的な外部周知と提案を図り、一層の利用促進に努める。

期中管理・経営支援部門

(1)早期着手による効果的な経営改善支援
  1. 政策保証(経営力強化保証・経営改善サポート保証)を活用し、経営改善に取り組む中小企業者の資金繰りをサポートする。
  2. 金融機関や関係支援機関(山梨県中小企業活性化協議会・山梨県よろず支援拠点・山梨県事業引継ぎ支援センター等)と密接に連携し、更なる関係の構築を図るとともに、保証付融資の割合が高い中小企業者については、早期の経営改善に向けた主体的な経営支援を実施する。
(2)中小企業事業再生ガイドラインを活用した円滑な事業再生支援
  1. 金融機関と適切な目線合わせを行い、保証付融資の割合が高い中小企業者を中心に、早期の実態把握に努め、山梨県中小企業活性化協議会への持込を通じ、中小企業事業再生ガイドラインを活用した円滑な事業再生支援に繋げる。
3)経営支援の効果的な実施に向けた検証への取り組み
  1. 経営支援の効果測定を継続し、検証結果を踏まえた工夫や改善を図る。効果測定は、専門家派遣事業を利用した中小企業者の収益動向(ローカルベンチマーク指標の内、売上高増加率および営業利益率の6割以上の改善)による効果の検証を行う。

回収部門

(1)回収業務の効率化と求償権の管理事務停止・整理の取り組み強化
  1. 求償権の状況を把握し、早期に回収可能性を見極めることにより、合理的かつ効率的な回収業務に努める。
  2. 回収見込みがない求償権については、専任部署を中心とした取り組み強化により、管理事務停止と整理を一段と進め、管理債権のスリム化を図る。
(2)求償権債務者の事業再生と再チャレンジに向けた支援の実施
  1. 事業継続している債務者には、保証部門や関係機関との連携により求償権消滅保証や再挑戦支援保証を活用し、事業再生を支援する。
(3)求償権関係人の実態把握を進め、実情に応じた保証履行請求による生活再建の取り組み
  1. 保証人の生活状況等を考慮の上で、「一部弁済による連帯保証債務免除ガイドライン」を活用し、生活再建を支援する。
  2. 「経営者保証に関するガイドライン」に基づく申出については、ガイドラインの趣旨を考慮し、適切な対応に努める。

その他間接部門

(1)コンプライアンス意識の向上
  1. コンプライアンス実践プログラムを着実に実行し、役職員のコンプライアンス意識の維持、向上を図る。
(2)リスク管理の強化による経営の健全性と安全性の向上
  1. 災害等に対する危機管理態勢の強化に向け、規定等に対する認識の共有を組織的に行うことで、その実効性を高める。
  2. 適切なシステム更改による情報セキュリティの維持・強化を実施する。
  3. 役職員のデシタルリテラシーを高めるとともに、情報セキュリティに対する意識向上に努める。
(3)効果的な広報の実施
  1. 適切な情報公開を行い透明性の確保に努めるとともに、わかり易くタイムリーな情報の発信を行う。
(4)人材の育成と活用による組織の強化
  1. 人材育成マネジメント力を発揮するため、コミュニケーションスキルの向上を図る。
  2. 人事考課制度、エルダー・メンター制度を活用し、職員の成長を組織的に支援する。
  3. トレーニー制度を活用し、組織における経営支援能力の底上げを図る。
(5)ワークライフバランスの整備
  1. 残業抑制、休暇取得率向上に向けた働き方と、健康経営に対する取り組みにより、エンゲージメントの向上を図る。
  2. 育児、介護等のライフステージにある職員にとっても、働きやすい職場環境となるよう改善を進める。
(6)デジタル化による業務効率の向上
  1. 業務のデジタル化の促進、それに伴う効率的な事務フローへの見直しを図る。
  2. 信用保証業務電子化の更なる拡大を図る。

保証承諾等の見通し

令和7年度の主要業務数値(計画)は次のとおりです。

項目 金額(百万円) 対前年度計画比(%)
保証承諾 58,000 96.7
保証債務残高 199,000 86.5
代位弁済 4,500 81.8
実際回収 450 100.0

参考資料