中期事業計画
第7次中期事業計画
(令和6年度~令和8年度)
(1)業務環境
日本銀行甲府支店の山梨県金融経済概観(2024年1月)によると、「県内経済は、一部に弱めの動きがみられるものの、持ち直している」としている。需要面においては、物価上昇の影響を受けつつも、個人消費は回復している。一方、生産面においては、海外経済の減速等の影響により弱い動きとなっている中、地場産業関連は国内需要の縮小や原材料価格の上昇等の影響を受けており、厳しい状況が続いている。
先行きについては、各種政策の効果により、景気の持ち直しが期待されるが、海外景気の下振れによる景気の下押しリスクや、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
(2)業務運営方針
中小企業者の抱える様々な経営課題の解決に向けた経営支援の重要性が増している中で、当協会においては、ポストコロナの資金繰り支援、挑戦意欲のある中小企業者への支援、関係支援機関との連携の強化による経営支援の充実を図るとともに、職員の能力育成等に努めることとし、令和6年度から令和8年度までの3か年間の中期事業計画における業務上の基本方針を以下のとおりとする。
1)ポストコロナにおける適切な資金繰り支援と中小企業の成長発展及び地域経済活性化への取り組み
過剰債務を抱える中小企業者に対し借換等の柔軟対応に加え、新たな資金需要についてもニーズに応じた適切な資金繰り支援を金融機関との密なる連携の下、取り組んでいく。
また、中小企業者の成長発展に寄与すべく経営者保証に依存しない融資慣行を促すとともに、スタートアップ創出の促進や伴走型支援による地方創生への貢献に取り組んでいく。
2)挑戦する中小企業者に対する経営支援の取り組み
挑戦意欲のある中小企業者に対しては、「収益力改善」「事業再生」「再チャレンジ」といった各局面における経営支援を、金融機関ならびに関係支援機関との実効的な連携体制により取り組んでいく。
経営支援の質を高めるため、職員の経営改善・再生支援スキルを向上させ、多種多様な課題の解決を図る。
中小企業者の事業維持および発展に資する効果的な支援対応に繋げるため、専門家派遣事業利用先の収益性変化についてローカルベンチマーク指標を用いて検証し、専門家派遣後における中小企業者の6割以上1の改善効果を継続させる。
1 令和3年度に専門家派遣を利用した先の収益性指標(売上高増加率・営業利益率)改善率は、61%
3)効率性を重視した求償権管理と事業再生・生活再建への取り組み
求償権の管理コストや効率性を重視した回収と適切な管理体制の構築を進めるとともに、中小企業者の個々の実情に即した対応により事業再生や生活再建等の再チャレンジに向けた支援に積極的に取り組む。
4)信頼される組織運営への取り組み
コンプライアンス実践計画に掲げる具体的な取り組みの充実を図るとともに、反社会的勢力、不正利用者に対しては、関係機関と連携を図り、信用保証制度の利用を未然に防止する等、コンプライアンスを全ての業務の基本と捉えた業務運営に努める。
また、事業継続計画(BCP)等の充実を図り、災害等の不測の事態にも適切に対応ができるよう危機管理態勢の維持・強化を図る。
さらには、計画等に基づく重要事項について役職員間での認識共有を徹底し、ガバナンスの強化を図るとともに、利用者目線に立った広報活動の展開等、適切な情報公開を通じた透明性の高い組織運営に取り組む。
5)組織活性化への取り組み
より高度化する業務を的確に遂行するため、積極的な人的資本投資を行うことにより、自信と意欲を持って能力を発揮できる人材の育成に取り組むとともに、対話と学び合いを通じて環境変化に対応できる強靭な組織を構築していく。また、ワークライフバランスを推進し、職員の健康維持等快適な職場環境整備を通じ、職員のエンゲージメント向上に取り組む。
さらに、顧客ニーズに迅速かつ適切に対応するとともに、事務フローの見直しやデジタル化への積極的な対応を通じ、業務の効率化を進展させる等、引き続き業務改革にも取り組む。