年度経営計画
令和6年度経営計画
経営方針
(1)業務環境
日本銀行甲府支店の山梨県金融経済概観(2024年1月)によると、「県内経済は、一部に弱めの動きがみられるものの、持ち直している」としている。需要面においては、物価上昇の影響を受けつつも、個人消費は回復している。一方、生産面においては、海外経済の減速等の影響により弱い動きとなっている中、地場産業関連は国内需要の縮小や原材料価格の上昇等の影響を受けており、厳しい状況が続いている。
先行きについては、各種政策の効果により、景気の持ち直しが期待されるが、海外景気の下振れによる景気の下押しリスクや、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
(2)業務運営方針
令和6年度においては、ポストコロナを踏まえ、金融機関との適切なリスク分担のもと、借換保証等による資金繰り支援の継続とともに、中小企業者の成長発展に向けた前向きな挑戦を支援していく。また、創業者に対する総合的な支援の展開による地方創生への貢献、加えて、経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けた関連施策の促進を行っていく。
経営支援においては、中小企業者が抱える多種多様な経営課題の解決のため、経営改善、事業再生、再チャレンジの各フェーズにおいて金融機関や関係支援機関との連携体制を強化させ、支援ニーズに的確に応えていく。
さらには、経営支援の効果を定量的な指標を用いて検証していくとともに、職員の支援スキル向上を進め、経営支援の実効性を高めていく。
債権管理においては、効率性を重視した回収と適切な管理体制の構築に取り組み、求償権関係人の事業再生や生活再建を積極的に支援する。
これらの取り組みと併せて、当協会が地域社会から信頼される組織であり続けるため、コンプライアンス意識の向上やリスク管理態勢の強化を図り、健全な組織運営に努めるとともに、多様なニーズに柔軟に応えられる人材を育成し、当協会の責務を着実に実行していく。また、DXの取り組みを通して、業務改善を進め、効率的かつ合理的な業務運営を行う。
以上を令和6年度の業務運営上の基本方針とし、次に掲げる事項を重点課題として取り組む。
重点課題
保証部門
(1)ポストコロナに向けた柔軟な資金繰り支援
- ゼロゼロ融資の返済本格化に加え、物価高騰の影響を受ける中小企業者に対し、借換保証を活用した資金繰り支援に努める。
- 挑戦する中小企業者の前向きな資金需要に対し、実情に応じた積極的な金融支援に努める。
- 中小企業者の状況に応じ、支援フェーズ毎に金融機関との適切なリスク分担を進める。
(2)経営者保証に依存しない融資慣行の促進
- 経営者保証に依存しない融資慣行の確立を加速させ中小企業者の事業の発展に資するため、「経営者保証ガイドライン」や「経営者保証の機能を代替する制度」をはじめとする各種施策の周知と利用促進に努める。
(3)創業に係る総合支援の充実
- 創業前から創業後に至る各ステージに応じた伴走支援(計画策定支援、資金繰り支援、モニタリング、セミナー開催)を積極的に展開し、創業創出と事業継続・発展に寄与する。
期中管理・経営支援部門
(1)支援フェーズに応じた適時適切な経営支援と関係支援機関との実効的な連携強化
- 金融調整による資金繰り支援に加え、専門家派遣事業を活用した効果的な経営支援を実施し、早期の収益力改善に寄与する。
- 金融機関や山梨県中小企業活性化協議会、山梨県よろず支援拠点等の関係支援機関との役割分担による連携体制の更なる強化を図り、支援ニーズへの的確な対応に繋げる。
- 山梨県中小企業活性化協議会との連携を密にし、事業再生の早期着手を促すとともに、代位弁済後も事業を継続している中小企業者に対し求償権消滅保証を活用した再チャレンジへの支援を展開していく。
(2)経営改善および再生支援のスキル向上
- 多様な経営課題に対処できるよう、外部専門家との帯同により経営支援スキルを吸収するとともに、関係支援機関との勉強会や情報共有を通じ、支援手法や知識の習得を進め、職員の支援能力向上を図る。
(3)経営支援の効果的な実施に向けた検証の取り組み
- 専門家派遣事業を利用した中小企業者の収益動向をローカルベンチマーク指標を用いて検証し、6割以上1の利用者の収益改善が図れるよう、中小企業者の事業継続に有効となる専門家派遣事業に繋げていく。
1 令和3年度に専門家派遣を利用した先の収益性指標(売上高増加率・営業利益率)改善率は、61%
回収部門
(1)求償権の管理コストや効率性を重視した回収と適切な管理体制の構築
- 求償権の状況を把握し、早期に回収可能性を見極めることにより、合理的かつ効率的な回収業務に努める。
- 効率性を重視した管理業務の見直し及び適切な管理体制の構築に取り組む。
(2)事業再生や生活再建など再チャレンジに向けた取り組み
- 事業継続している求償権債務者には、保証部門や関係機関との連携により求償権消滅保証を活用し、事業再生を支援する。
- 求償権保証人の生活状況を斟酌の上、「一部弁済による連帯保証債務免除ガイドライン」を活用し、生活再建を支援する。
- 「経営者保証に関するガイドライン」に基づく申出については、ガイドラインの趣旨を考慮し、適切な対応に努める
その他間接部門
(1)コンプライアンスの徹底
- コンプライアンス実践プログラムを着実に実施し、コンプライアンスを重視した業務遂行を徹底する。
- コンプライアンス啓発活動において、工夫を重ね、役職員のコンプライアンス意識の向上に努める。
- 業務の遂行に関わる重要事項について、役職員間での認識共有を徹底するとともに、各種支援や当協会の取り組みについて情報公開を行う。
(2)リスク管理の強化
- 高まる自然災害や感染症等の非常事態において、適時適切な対応がとれるよう、関連規定の見直し等を行い、危機管理態勢の強化を図る。
- 情報セキュリティに対する役職員の意識向上に取り組み、情報セキュリティ対策を徹底する。
(3)人材の育成・職場環境の整備
- エルダー・メンター制を継続し、新入職員と所属長と育成担当部署の間で目標を共有するとともに、計画的な人材育成を進める。
- 業務関連資格の取得や通信教育の受講を奨励し、多様なニーズに対し専門知識や実務能力で対応できる人材を育成する。
- 働きやすい職場環境の整備や健康経営を進めることで、職員のパフォーマンスを高め、働きがいや満足感の向上に努める。
(4)業務効率化の推進
- 信用保証申込手続きの電子化について、金融機関や関係機関と連携し、円滑な導入に向けた環境整備を進める。
- 多様化する業務に対応するため、各種システムの活用や業務フローの見直しを行い、業務運営の効率化を図る。
保証承諾等の見通し
令和6年度の主要業務数値(計画)は次のとおりです。
項目 | 金額(百万円) | 対前年度計画比(%) |
---|---|---|
保証承諾 | 60,000 | 103.4 |
保証債務残高 | 230,000 | 91.6 |
代位弁済 | 5,500 | 137.5 |
実際回収 | 450 | 100.0 |