年度経営計画

令和5年度経営計画

経営方針

(1)業務環境

 

日本銀行甲府支店発表(令和5年3月14日)の山梨県金融経済概観によると「県内景気は、新型コロナウイルス感染症(以下、「コロナ感染症」という。)抑制と経済活動の両立が進むもとで資源高の影響などを受けつつも、基調としては持ち直している」としている。設備投資計画についても、製造業を中心に令和3年度を上回る見込みである。しかし、生産活動においては、全体的には高水準ながらも、一部の業種では弱めの動きがみられている。 先行きについては、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待されるが、引き続き供給面での制約や物価の上昇、さらには為替や市場金利の動向を注視する必要がある。

(2)業務運営方針

 

 以上のような業務環境を踏まえ、令和5年度においては、コロナ関連融資の返済が本格化することを意識した企業支援に努めるとともに、時代の変化に即した業務態勢を構築し、中小企業や地域経済からの期待に応えていく必要がある。
 そのため、事業運営においては、中小企業者を取り巻く環境は依然として厳しい中、中小企業者の経営の安定・持続的発展のため、国および県をはじめとした地公体、金融機関や商工団体等関係支援機関と連携・協働し、中小企業者の視点に立った経営の改善発達に係る助言など、伴走型支援による金融と経営支援の取り組みを一層強化していく。あわせて、創業、事業再生、事業承継などの企業のライフステージに応じた経営課題等の解決に向けた支援に努める。加えて、経営者保証改革プログラムに基づく融資慣行の確立を更に加速させるため、経営者保証に依存しない取り扱いにも取り組む。また、債権管理においては、債務者・保証人(以下、「求償権関係人」という。)の実状を的確に把握し、効率的な求償権の管理・回収に取り組むとともに、事業再生や生活再建など求償権関係人の再起を支援する。
 さらに当協会が将来にわたって公的機関としての使命・社会的責任を果たし続けていくため、引き続き、コンプライアンスを徹底し、リスク管理態勢の強化を図りながら、健全性を確保した業務運営に努めていく。また、内外における業務環境の変化に注視し、DXによる業務の効率化を推進するとともに、職員の能力や資質の向上、ワークライフバランスの充実に努め、働きがいのある職場づくりの整備を図る。 以上を令和5年度の業務運営上の基本方針とし、次に掲げる事項を重点課題として取り組む。

重点課題

保証部門

(1)政策保証の推進
  1. コロナ禍に加え、原油・物価高騰等の影響を受け、業況悪化や債務の増加により資金繰りに支障が生じている中小企業者に対し、金融機関と連携しながら「伴走支援型特別保証」等の周知・提案を積極的に行い、経営改善・生産性向上や事業再構築に向けた金融支援を行う。
  2. 経営者保証に関するガイドラインの趣旨を踏まえ、経営者交代等の期中時に限らず、通常の保証申込時においても要件に該当する案件については、金融機関と連携し、経営者保証に依らない保証を推進する。
(2)創業支援の充実
  1. 関係機関が実施するセミナー等へ協力し、創業支援のメニューの周知により、地域における創業を後押しする。特に創業時における必要な資金を円滑に供給するために、「スタートアップ創出促進保証(SSS保証)」等を積極的に活用し、創業後におけるモニタリングやフォローアップ等、伴走支援を行うことで、創業者の事業発展の実現に寄与する。
(3)信用保証の利便性向上に向けた取り組み
  1. 保証審査業務において迅速な保証対応や利便性の向上に繋げられるよう、現行の保証審査プロセスにおける業務の効率化に努める。

期中管理・経営支援部門

(1)効果的な経営支援の取り組み
  1. コロナ関連融資の据置期間終了を見据え、返済見通しを確認し、経営課題に即した早期の経営支援に着手する。
  2. 金融機関、専門家、協会の三者間で連携し、中小企業者の経営課題や支援策を共有するとともに、専門家派遣後の経営状態をフォローアップすることで、より効果的な派遣事業に繋げる。
  3. 中小企業者との対話を通じ、経営状況の把握やビジネスモデルの理解に努め、個々の実情に応じた適切な支援策を提案する。
  4. 経営支援の取組実績の分析に努め、ノウハウの蓄積を行うとともに、経営改善を目指す企業や金融機関等の取り組みの参考となるよう、経営支援事例を紹介する等、経営支援メニューの活用を促す情報発信を行う。
(2)関係支援機関との連携強化
  1. 中小企業活性化協議会をはじめとした関係支援機関との連携や情報交換、業務の相互理解を深め、各関係機関とのネットワークを活用し、多面的かつ継続的な期中・経営・事業再生支援に取り組む。

回収部門

(1)求償権の効率的な管理・回収
  1. 個々の求償権の状況を把握し、回収可能性を早期に見極めることにより、管理債権の選択と集中を図り、合理的かつ効率的な回収業務に努める。
(2)事業再生・生活再建に向けた取り組み
  1. 事業継続している求償権債務者には、今後の業況を見通した上で、保証部門や関係機関との連携により「求償権消滅保証」を活用した事業再生に取り組む。
  2. 求償権保証人の生活状況を勘案し、「一部弁済による連帯保証債務免除ガイドライン」の積極的な活用により生活再建に繋げる。
(3)サービサーの有効活用
  1. サービサーへの有効的な委託と解除により、求償権管理体制の最適化を図る。

その他間接部門

(1)コンプライアンスの徹底
  1. コンプライアンス実践プログラムを着実に実施し、役職員のコンプライアンス意識の向上に努め、コンプライアンスを重視した業務遂行を徹底する。
(2)危機管理・リスク管理態勢の強化
  1. 自然災害等多様な不測の事態に備え、組織として迅速な復旧と業務継続が出来るよう、BCP等の不断の見直しを行い、危機管理態勢の強化を図る。
  2. 計画的に内部監査を実施し、諸規定や業務プロセスの見直し、是正などのリスク管理意識を組織内に浸透させ、効率的かつ適正な業務運営の推進を図る。
  3. 保証協会システムセンター等と連携・協力し、定期的な保守点検や機能改善等を継続させ、基幹システムをはじめとした各種システムの安定的な運用を確保する。
(3)人材の育成と組織の活性化
  1. 多様化する中小企業者のニーズや外部環境の変化に対応した多岐に亘る業務に注力できるよう、職員の専門的な知識習得や能力向上を図るとともに広い見識を持つ人材への育成を進める。
  2. ワークライフバランスの実現と職員の健康への意識向上を図り、働きやすい職場環境づくりを推進する。
(4)広報活動の充実
  1. 中小企業者、金融機関や関係機関の利便性向上を図るための効果的な情報発信と、当協会のプレゼンスを高めるための積極的な広報活動に努める。
(5)業務改革の推進
  1. 信用保証書の電子交付の拡大や信用保証申込の電子化の普及に向け、関係機関と連携し、業務のデジタル化を進め、金融機関や中小企業者の利便性向上を図る。
  2. 業務運営のデジタル化を段階的に進め、抜本的な事務の見直しを行うとともに効率化・省力化に取り組む。
  3. 業務におけるDX活用について組織的に研究を進めるとともに、職員の意識改革を図りデジタル時代に対応した業務態勢の構築を進展させる。

保証承諾等の見通し

令和5年度の主要業務数値(計画)は次のとおりです。

項目 金額(百万円) 対前年度計画比(%)
保証承諾 58,000 103.6
保証債務残高 251,000 93.0
代位弁済 4,000 100.0
実際回収 450 52.9

参考資料