創業支援事例

「作りたい。楽しんでもらいたい。」その思いを現実に!

菓子作りへの自信と創業への不安

 幼少期にアメリカで過ごした際に母親に作ってもらったお菓子から得られた幸福感が、アメリカンスイーツ作りの原点という創業希望者の女性。
 趣味として知人からの依頼で作っていたスイーツや、街のマルシェに出店したスイーツが好評であったことから、「心に残るギフトになるようなお菓子を作りたい」「華やかなだけでなく安心安全なお菓子をもっと多くの人に楽しんでもらいたい」との思いを持ち続けていました。
 これまでに培った経験や実績、人脈などから、イベント菓子製造の引き合いが既にある状況でした。ただ、お菓子作りに対しては、大きな自信があるものの、事業経験が無く、店舗運営や経営していくことについては不安がありました。そこで、女性創業者を支援するNPO法人に相談をしたところ、当協会に創業支援の依頼がありました。

創業計画策定支援と開業資金支援

 女性の創業者ということもあり、当協会の女性経営者応援チーム「MAPLE」での創業支援を行うこととし、当協会の女性職員(中小企業診断士)にて創業計画の策定支援を開始しました。
 まずは、創業の心構えやコンセプトなど、創業する上での準備や創業後のイメージを作ることが重要となります。それを具体的に創業計画書として作り上げていくために対話を行いました。
対話では、創業者の「お菓子を通して多くの人に楽しんでもらいたい」という思いや、お菓子作りの実績について、高く評価できるものが感じられた一方で、事業経営をしていく上での知識やノウハウに不安が感じられました。
 そこで、創業計画を策定していく上で、誰に届けたいのか(子育て世代の女性)を明確にすることに重点を置き、ヒアリングに時間を割くこととなりました。
次に、今までの知人からのお菓子の製作依頼やマルシェでの出店だけでは集客に限りがあることから、お客様が来店できる場所を作ることが、店舗を構えることの真意であることを認識してもらい、事業展開していく上での軸がブレ無いようにヒアリングを重ねていきました。


その結果、マーケティング戦略として、次の2点を提案しました

  1. 店舗運営を主体としながら、菓子教室の開催や洋菓子店・ホテルなどへの卸売りも展開することで安定収入を確保する
  2. 店舗での小売部門は、SNSの活用やマルシェへの出店、フリー情報誌への掲載による周知を図る

 事業運営における係数概念の説明も行い、部門別の損益分岐の考え方などについても助言をおこないました。

 創業計画の策定支援が進む中で、創業者自身の意欲がより増してきた姿が見られるようになったことを踏まえ、事業資金の確保のため、創業者が希望する地元金融機関に対して融資相談の橋渡しを行いました。
金融機関を交えた検討を経て、洋菓子店開業資金として当協会の創業保証制度の利用と、山梨産業支援機構の「山梨みらいファンド」を活用することとなりました。一連の創業支援を通じて、思いを現実にするスタートのお手伝いをすることができました。

具体的支援

・当協会の創業応援保証「エールウーマン」にて設備資金を対応
・山梨みらいファンドを活用

伴走型の継続支援

 誰に何を届けたいのかを明確にすることや店舗運営していくことの真意を理解してもらうことにより、何に重点を置いて事業を展開していくのかが明確になりました。
 また、マーケティング戦略の支援の結果、地元テレビ局に取り上げられたほか、地元情報誌への掲載もあり、順調な滑り出しとなりました。来店者は本人が届けたいと考えた子育て世代の女性が多く、SNSでの口コミでの評判も広がり、品切れとなる日もある状況となりました。
 売上も創業計画を上回っており、創業間もない段階でも、利益の確保ができました。
 創業後においては、当協会主催の「創業フォローアップセミナー」へ参加していただき、創業後における振り返りや気付きを考えていただく機会も設けました。
 今後は、店舗運営に慣れていないため、機会ロスの発生が懸念されるところであり、計画的な店舗運営、数値管理の徹底が課題であることから、伴走型のモニタリングによる経営支援を継続してくこととしています。

具体的支援

・当協会主催創業フォローアップセミナーを受講

ご利用事業者の方の感想

女性が女性の立場になって支援していただけたので、何事も相談しやすかったです。創業を決意してから、計画作成、資金調達、事業開始、創業後まで伴走してくれ心強く思いました。引き続き、数値管理の方法や経営へのアドバイスをもらいたいです。

協会担当者より

創業者を支援する様々な支援機関と連携を図りながら、創業期における一貫した支援を続けていきます。